また金の話か

島田紳助の特番、国内外から集まったパフォーマーたちが技を披露して、
そのギャラを観客が決めるという番組。
どうしてこう、評価をいちいち金額で明示させたがるのだろうこの人は。


思うに、紳助という人には発想力は無い。
彼の話芸や、番組や楽曲のプロデュースなどのほとんどは元ネタのあるものを
分析して再構築して作られてると思う。
それは悪いことでは無い。世の中にはもう才能ある人が生み出した名作が
ごまんとあるのだから、それを土台に面白いものを作れるのならば
そういう方法も有りだと思う。


昭和50年代、天才であるビートたけし明石家さんま島田洋七などに比べると
明らかに島田紳助は才能に乏しかった。
その紳助が頑張って勉強して天才たちに並び立つくらいの仕事を成し遂げてる。
これもまた一流の仕事だ。彼の業績にケチを付ける気はない。


だが哀しいかな才能を持たない者の不安。
結果を数字で出してくれないと満足できないのだろう。
やたらと金額や得票数などの数字で結果を見ることを求めすぎてる。




紳助が可愛がってる芸人・たいぞうが個展を開き、全ての絵に値段を付けて
最終的に完売したとか言ってた。
これも紳助の入れ知恵なのか。
絵を売り切るんじゃそれ個展じゃなくて即売会じゃないの。
「描いた絵はみんな僕の子供みたいなものなので、本音を言ったら売りたくない」
と言ってたジミー大西と好対照だ。


芸術家が金を求めるなと言いたいわけではない。
才能の切り売りみたいなものなのだから、芸術作品には多くの報酬が与えられて
然るべきだとは思う。
それにしても商売っ気が前面に出過ぎてる。


彼の司会する番組のひとつ、開運!なんでも鑑定団は見てて不快感が無い。
これも芸術を金額で評価する番組なのだが、しかしそこには芸術に対する敬意が
付随してて、素直に見ることができる。
低い鑑定額が出たときも中島誠之助が「値段は付かないけれど素晴らしい品
ですよ、大事に使ってください」とか言ってくれるのがいい。
数百年前の骨董品よりも数十年前のソフビ人形の方が高値が付いたりする
不条理さなどもエンターテインメント性があって面白いバラエティ番組だ。




最高の芸を見せるパフォーマーを集めたのなら、それを皆で鑑賞して楽しむ
だけでは番組にならないのかな。
海外から招いたサーカス団がパフォーマンスを披露してる最中に、舞台に背を
向けて若手に説教することに夢中になるような人にそれを求めるのは無理なのか。